今回私たちがたけのこ掘りに訪れたのは、京都市西京区の大枝塚原地区です。住宅が建ち並ぶ中でも、一歩足を踏み入れると、豊かな森林や自然が広がる地区で、「京都でも有数の上質なたけのこの生産地」として知られている地域でもあります。 実際に現地へ足を運んでみると、壮大な竹林でありながらも丁寧に整備されており、普段私たちが何気なく食べているたけのこが、多くの手間と時間をかけて育てられていることを実感しました。
実はこの日、前日からわくわくが止まらず、わざわざホームセンターに行って長靴を購入し、そのまま家から履いて来てしまったほどです。
竹林へ向かう道中も、「本物のたけのこ掘りができる」という期待感で胸が高鳴っていました。
竹藪に着くと、ここでようやく長靴に履き替えている他のメンバーを横目に、加納さんから「ホリ」を受け取りました。刃の部分が非常に長く、ずっしりとした重みを感じるため、持ち運ぶ時はしっかり担がないといけないほどでした。たけのこ畑へ向かって歩きながら、「今からこの重い道具を使って、一つひとつ掘っていくのか......」と思うと、先ほどまでのやる気とは裏腹に、自分の体力に少し不安を覚えました。
たけのこ畑へ向かう道中、加納さんは、竹薮にならずたけのこ畑として良い状態を保つためには、こまめな手入れが欠かせないと教えてくださいました。毎年冬には客土を行い、保温のために藁を敷くなどの作業をしているそうです。また、毎年秋に生え始めて6年目を迎えた竹を伐採し、新たなたけのこが育つためのスペースの確保も行っているとのことでした。
たけのこは先端が少し土に覆われている必要があるため、ショベルカーで近くの土を掘り、たけのこが生える場所にかぶせているそうです。さらに、昔はこうした作業がすべて手作業で行われていると伺い、その手間の大きさに驚くと同時に、どれも初めて知ることばかりで、とても興味深く感じました。
いよいよたけのこが生えている場所に到着し、たけのこ掘りが始まりました。最初に加納さんから掘り方の説明を聞きながらも、「機械を活用すれば、綺麗に掘れるのではないか?」と疑問を感じていました。あまりにも気になりすぎたため、加納さんに質問をすると、「最近は農作業全般において、これまで手作業だったものが機械に置き換わっているけど、たけのこ掘りは手作業じゃないとダメ。」と答えてくださいました。なぜならば、機械では竹の根を傷つけてしまう。そこで重要となってくるのが、たけのこ掘り専用の道具である「ホリ」だそう。ホリは普通の鍬に比べて先が細い。これは、竹の根をできる限り傷つけないように、綺麗にたけのこを掘れるようにするための形だそう。こういった竹に対する配慮は竹藪の多い京都だからこそ育まれてきたものなのではないかと感じました。
実際にたけのこ掘りをしてみると、想像以上に難しい作業でした。てこの原理を利用して竹の根にぐっとホリの先を入れ込む。「ふんっ、ふんっ」と何回も柄を押し下げます。加納さんは、たけのこが埋まっている証である地割れを見つけて「ここにあるぞ!」と教えてくださいました。その場所をひたすら掘り続けましたが、あまりの掘れなささに他のメンバーと顔を見合わせて笑ってしまう場面もありました。結局、自分の力で掘ることができたのは1本だけでしたが、加納さんが掘ってくださった綺麗なたけのこも持ち帰らせていただきました。
作業を終えて達成感に浸りながらも、たけのこの下処理の方法に悩んでいると、採れたての新鮮な竹の子はぬかで灰汁を抜く必要がないと教えていただきました。
今回、たけのこ掘りを体験させていただいたことで、食卓に美味しい料理として出されるまでには農家さんの苦労と自然や作物を大切にする姿勢と行動があってこそ成り立つことであると改めて認識することができました。たけのこ掘りを終えて、「大切に育ててくださったものをどうやって美味しく食べようか」と考えながら歩く朝の竹藪は、肌寒さを感じながらも、風に吹かれる笹の葉が奏でる音が心地よく、気持ちのよい空間でした。
加納 靖彦さん
JA京都市 太秦支部
JA京都市版GAP承認者
右京区太秦エリアを拠点に農業を営む。圃場で作った野菜は近くの直売所で販売し、地産地消を実践されています。
〇同志社大学広告研究会add’sとは
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