【JA京都市×京都市動物園】ロス野菜を動物園に寄付

2021年7月、JA京都市嵯峨野支店は、規格から外れて廃棄される予定の野菜を京都市動物園に寄付しました。 コロナ禍でエサ代の負担が増す動物園への支援からは、JA京都市が目指す「都市型農業」のあり方が見えてきます。

ロス野菜を届けに来たJAスタッフ(左)と、京都市動物園 和田副園長(右)。

「葉が硬くなる」から廃棄する小松菜。

動物園への寄付の発案者は、当時、JA京都市嵯峨野支店に勤めていた榎本さん。
子どもと一緒に京都市動物園をよく訪れる榎本さんは、金額にして約6,000万円にもなる同園のエサ代について、以前から案じていたそうです。

また、嵯峨野支店の管内では小松菜の栽培が盛んですが、定められた規格より少しでも大きくなると「葉が硬くなる」という理由から市場に出すことができず、最後は畑にすきこむ肥料として廃棄される点にも頭を悩ませていました。

こうした「ロス野菜」の問題は報道でもたびたび目にしますが、榎本さんは2018年頃に廃棄される小松菜を動物園に提供する事業を企画しました。
当初は、JA京都市の出荷事業(=ビジネス)として企画を進めていたそうですが、2019年末から新型コロナウイルスの感染が拡大。
これにともない京都市動物園の財政が悪化したことから、寄付事業として取り組むことにされたそうです。

関係各所との調整を経て2年越しに実現した寄付は、小松菜を中心にトマト、ナス、キュウリなど計約75kg。
もともと小松菜は動物園での飼料としてよく使われており、京都市動物園でも年間1,962kg(2020年度)を消費しているそうです。
栄養豊富で価格も安定しており、家庭では何かと重宝する小松菜ですが、動物のエサとしては決して安くなく、同園からも大変喜ばれました。

京都市動物園にはさまざまな企業・団体からの寄付が集まるように。費用面だけでなく、栄養価の異なるさまざまな野菜を提供できるというメリットも生まれています。

リンクするJA京都市と京都市動物園の思い。

JAといえば「生産者が収穫した野菜を出荷する先」といったイメージがありますが、JA京都市は、JAとしては珍しく販売(出荷)事業を行っていません。
その分、京都市という大都市を拠点とした潤いのある景観の創出や食育、地産地消、防災といった「都市農業」を支えるための幅広い活動を行っています。

京都市動物園への寄付活動も、都市農業のあり方の一つといえます。
エサの提供という財政的な支援だけでなく、市内の子どもや大人が多く集まる動物園の運営に役立つという意味では、農業と市民の交流、農業を通した地域貢献といった要素も満たしています。

また、京都市動物園でも廃棄食材の寄付を呼び掛けたり、象やシマウマの糞を肥料にするなど、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」(=持続可能な方法で生産し、責任をもって消費する)に準じる活動に力を入れており、同じ京都市を拠点として、持続可能な地域の未来に対して共通する思いを持つ団体が、野菜を通してつながることになりました。

都市と農業、人間と動物

生産者にとっても、動物園にとってもメリットの大きいロス野菜の寄付ですが、野菜の配送にかかるコストの負担や、必要なときに必要な量を届けられるような調整が今後の課題として残っています。
一方で寄付の報道後、JA京都市にはさまざまな生産者から寄付の申し出が寄せられるなど、今後の展開には大きな期待が集まっています。

「育てた野菜は、余さずおいしくいただく」。
一消費者としてはぜひこうあってほしいものですが、需要と供給のバランスにより余剰生産が発生してしまうことも避けられない現実です。
コロナ禍にJA京都市と京都市動物園の間に生まれた新たなつながりは、都市と農業、人間と動物の関係について、改めて考えさせられるものとなりました。


【撮影協力】 
京都市動物園(https://www5.city.kyoto.jp/zoo/)

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